かつてこの地上を焼き尽くした呪帝戦争。

神と悪魔、人類の三つ巴となったこの戦いで
人類が滅びる事無く、互角に戦えた理由は、
歴史に消えた古き神々の力を借りる事が出来たからと言われているが、
その他にも、当時の脅威的な魔術技巧によるところも大きかったであろう。

その中でも、ルクツェルンの魔道人形やミッツガルド式竜機兵、ゲーマルク飛行要塞など、
今でも伝説として残され、遺跡によってその存在が確認されている物もある。

ただ、それらの物はいずれも、外部からの大量のエネルギー補給が必要であった。
通常ならばとても実戦投入などできるとは思えないそれらを、
実戦レベルで使用することが出来たのは、永久機関の一種といわれる「性燃機関」の存在であろう。

これは無数の有機接続端子を有する接続器によって、
素体とした生物に極限の快感を与えつづけ、
性的快感によって対象が発生させる精神エネルギーを魔素に変換、転換炉で使用する…というものであった。

なお、この性燃機関は、
素体となった生物の快感を得るためのプロセスが解っていないと使用不可能であるため、
素体にはおもに人間の女性や、亜人種の女性などが選ばれることとなったようだ。

素体とされた者は、想像を絶するほどの快感を与えられ、
長時間にわたって持続する絶頂によって快感を搾り取られていたようだ。
しかも外部から、余剰エネルギーによって生み出された養分や
抗生体が常に補給され、生物的な”死”すら拒絶されてしまい、
半永久的に絶頂にさらされる事となる。



……………

我々はこの度、幸運にも稼動している呪帝時代の要塞を発見した。
要塞そのものは、既に朽ち果てていたが、中枢区画は健在で、
その中でいまだに動作中の性燃機関を確認。

調査したところ、3つの接続器が動作中であり、
そのうち一つの中に一人の若い女性を見つけた。
女性は、おそらく1000年を超えるであろう年月のあいだ、
絶頂感にさらされながらも、絶えず補給されている抗生体によって
狂う事も出来ずに、快感の嵐の中にいた。






女性を救出しようとした我々であったが、
要塞の防衛機構が生きている事を失念、失敗してしまう。
それどころか、我々の仲間の女性2名が、自己修正機構によって捕獲され、
空いていた2つの接続器に取り込まれてしまう事となった―――。


彼女らの救出には、システム面から開放させるために高度な技術者が必要と判明。
無論、現在そのような技術者がいるわけもなく、
我々に出来る事は王都への帰還、事態の報告しかなかった。



おそらく彼女達は、これから永遠に、狂う事も死ぬ事も出来ずに
快感を叩き込まれ、絶頂に達し続けるのだろう……。

「た…すけてぇ……隊長…たいちょ……ひぁああああぁぁぁっぁぁあぁ!
いやぁ、いくっ、いっちゃうのォ……っっ!!!!」

やむを得ず帰還する我々の背後から、
取り込まれた女性の嬌声が響いていた……。